透明人間の輪郭

紡いだ言葉が私の輪郭になる。

「常夜燈/PEOPLE1」の歌詞について考えてみた

かわいい女の子がダンスを踊るPVは何かと話題になる。


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PEOPLE1の「常夜燈」も例にもれず、女の子がダンスを踊るアニメーションで本当にかわいい。スマホを想起させる画面割とか面白いと思う。
女の子のPVに注目が集まりがちであるが、僕は皆さんが歌詞についてどんな感想を持っただろうか。
僕は正直よくわからなかったのだが、PVのかわいさに誤魔化されている不穏な何かを感じたのだ。
何せ歌詞の冒頭が“天国に学校はあるかしら”である。
私の解釈を聞いていただきたい。

ぜひご覧になったことのない方には見ていただきたい。


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どうだろうか、曲の明るさみたいなものもあって、女の子が本当にかわいく見える。
歌詞を見てみよう。

 天国に学校はあるかしら
ふらつく足で見つけたのは
古い映画の悲しい結末 oh oh oh

皆は君の 君は神様のせいにする ah
その神様の歌声は
今じゃよくあるコンビニの放送 oh oh oh

みんな優しさを受容して
そっと心に釘を打つの
期待はずれの夜を抜けて oh

この世界には 未来がキラキラと
みえる人もいるというの
それならば 食えぬものなど置いていかなくちゃ
例えばこんな胸の常夜燈も

才能って一体何だろうね
ブランコを漕ぐ ah みたいな日々が
何気なく君に色を差す oh oh oh

いつか大人になるのならば
忘れたことも思い出そう
そんな努力もしてみよう um um um

そんな些細な妄想で
胸の爆弾は軽くなるの
先延ばしの朝を迎えて oh

この世界では 人をだましたり
モノを盗んではいけないというの
それならば 欲しいものなど君にあげるよ
例えばこんな胸の常夜燈も

この世界には 未来がキラキラと
みえる人もいるというの
それならば 食えぬものなど置いていかなくちゃ

臆病な自尊心に 匿われて目覚めたのは
あの頃の僕らだ
いつか大人になるのならば
欲しいものなど君にあげるよ
例えばこんな胸の常夜燈も

歌の歌詞には必ずしも意味があるとは限らない。
しかし、言葉に意味がある以上は推察したくなるのが人のサガである。

僕がこの曲の歌詞を読んで感じるのは、人生を諦めている子が人生の見方を変えてくれるような存在に出会って少し気が楽になって、人生は続いていくみたいなストーリーです。
曲調も映画のEDのようで、大団円感があります。

 

主人公はいじめられていて自殺を考えているような子か病気で学校に行けてないような子ではないかと思います。
とは言いましたが、それは大げさで、生きる意味なんて感じなくてもう死んでもいいって感じているような子かもしれません。
だから「天国に学校はあるかしら」と天国にも学校があるかどうか気にしていて、天国行ってまで学校に行くことを嫌がっているのか、行けなかった学校に行きたいと思っているのではないでしょうか。
それから、「期待外れの夜を抜けて」と「先延ばしの朝を迎えて」は「常夜燈」というタイトルからも気になる歌詞です。
「期待外れの夜」というのは、主人公は人生に対して後ろ向きなのでこのまま朝が来なければいいと期待するけれど「抜けて」と結局朝が来てしまい、人生を「先延ばし」にしていく「朝」を迎えるといった意味合いなのかなと思います。
夜を長く過ごしたいので主人公には常夜燈が必要です。

 

もう一人歌詞の中には「君」が出てきます。
「君」は主人公が出会った「未来がキラキラと見える人」だと思います。(「人もいるというの」という表現が少し気になりますが。)
「君」のような人に出会って人生悪くないと思えたから、「君」と行きたいと思えたから、後ろ向きで「食えぬ」夜を過ごすための「心の常夜燈」は置いて朝を迎えたい。
「君」はみんなが君のせいだといっても神様のせいにできる。つまり自分を責めて生きるようなことはしません。
また主人公は「才能」について考えているときに「君に色を指す」と言っているので、なんとなく「君」何か才能といえるようなものを感じているのではないかと思いました。
だから、「君」が「未来がキラキラと見える人」なのではないかと考えました。
そんな人と生きる世界で今を考えずに死後のことに想いを馳せるなんてナンセンス、ずっと明日が来なけりゃいいなんて考えは食えないのです。

 

こんな後ろ向きだった感情も君と大人になって行くにつれて忘れていくことができるかもしれません。
それでも、主人公は後ろ向きだった感情も自分だったと受け入れていつか思い出して味わうことができればいいなと唄っているのではないかというのが私の解釈です。
どこにも歌詞の内容について明言されてないので私の完全な妄想ですし、すっ飛ばしている歌詞もあります。はっきり説明がついてないなと思う部分もあります。

 

ちなみに、「君は神様のせいにする」の神様と聞いて最初に思い浮かんだのは「フォークの神様ボブ・ディラン」です。
「今じゃよくあるコンビニの放送」はセブンイレブンでよく流れているこれを思い浮かべました。


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だから、「君」は何か音楽の趣味がある。中高生特有の古い洋楽聴いててかっこよく見える他の同級生とかとは違う雰囲気を持った人なのかと考えました。
何かこの感じエモさありませんか。

 

聴いた感じが観たことないきれいに終わった映画のエンディングのような幸福感があって好きだなと思います。
また、前向きな曲調ですが、いつか大人になることを些細な”妄想“と言う、世界がキラキラとみえる人もいる(=自分にはみえない)と言うなど歌詞に影があったり、何について唄っているのか曖昧な部分もあって少しつかみどころがなかったりするのも魅力だなと感じました。